9/9---くもり---32km

今朝は、風も若干弱まり、雨は上がっていた。 みちのくに別れを告げ、ライダー天国こと北海道に上陸だ。 北海道に渡るフェリーは、ここ大間崎の他に青森港からも出ているが、大間崎から渡る方が料金も時間も四分の一で済むのでお得だ。

フェリーにバイクを積み込み、乗船すると、元巨人軍の中畑清選手にそっくりの人が話しかけてきた。聞くと、青森の六ヶ所村の原発に勤務している人で、いろいろと原発の難しさを聞かせてもらった。地元との折り合いや、もしもの場合や、国からの予算など・・日本は世界で唯一の原爆被爆国なので、原子力には敏感なのだ。ごちそうしてもらった弁当を食べながら話を聞き、「開発」というものについて考えてしまうのだった。 そうしている内にフェリーは函館港に到着した。フェリーターミナルには、ホクレンの旗を付けたバイクがズラッと並んでいる。さすがに北海道はツーリングのメッカだ。早速函館の町を走り、早々に宿にはいり、函館中央郵便局に向かう。北海道ツーリングに備え、防寒着を局止めで送っておいてもらったので、それを引き取りにいく。これも、ロングツーリングで荷物を減らすコツだ。不要になれば送り返せばいい。ロングツーリングでは郵便局は強い味方だ。多額の現金もなくすと大変なので、郵便局の口座に預け、カードで必要な分だけおろす。郵便局はどんなにちいさな村でもたいていあるので、土日と祝日さえ気を付ければ困ることはない。(土日、祝日の感覚が完全にマヒしてしまうので注意)さらに、ガソリンはクレジットカードを利用する。万が一お金を下ろし忘れても、ツーリングを続けることができる。ツーリングはバイクが走らなければ、お手上げなのでこれには万全の体制が必要だ。 こういう心配をしなくていいようにしていけば、旅を楽しむ余裕につながる。

今日は、北海道上陸を記念して、のんびりと過ごした一日だった。 久しぶりにテレビをみると、ニュース番組がやたらと面白く、ニュースばかりみまくった。自分が、世間の流れと違うところにいることを思い知ったのだった。

フェリー;2100
食費;659+370
宿;4500
日用品;1009+50
TV;1000


9/10---晴れ---309km

今日から本格的な北海道ツーリングだ。
天気はこれ以上ないほどの快晴で、9月の北海道は湿度も低く、風はサラッと気持ちがいい。でも温泉には入る。まずは「浜の湯」まずはまずまず。そして同じ恵山の反対側に周り、ちょっと有名な?「水無温泉」だ。脱衣所などなく当然タダである。海に向かって3つの湯船があるが、一番海よりの湯船は満潮時には海に浸ってしまう。とりあえず手前から順に入る。うわぁフナムシだ。湯船のまわりには、びっしりとフナムシが張り付いている! 初めは、ん? なんで石が動くのかな? と思ったが、よく見たらフナムシのカタマリだった。フナムシを湯で追い払うと、ひとつの生き物のようにサーと移動し、またすぐに戻ってくる。その隙をついて湯に入る。あまり落ちつかない入浴だったが、やはり海が目の前というのは気分がいい。

その後、さわやかな気分で北海道を走る。それにしても本州と違う。どこが違うか。まず道がまっすぐ。そして走りながら風景が楽しめる。とにかく広い。道民がライダー慣れしてる。そうライダーに慣れてる。子供なんかガンガンにピースサイン出してくるし・・・やっぱりライダーのメッカだ。すれ違うバイクの台数も、本州の三倍はいる。真夏なんかどうなってしまうんだ? 9月でこれじゃあ。

昼を大きく回った頃、R278沿いのラーメン屋に入る。店のオヤジさんといろいろ話をしながらラーメンを食い、店を出るときそのオヤジさんが、コンブとスルメを新聞につつんでくれた。ここ南茅部町は高級コンブの産地だそうだが、採れたコンブは地元で食べることはほとんどなく、東京などへ高級品として出荷される。採れたところでも高級品のため、あまり食べられないとは・・・一体どうなってるんだ! 
こういう事は日本中、いや世界中で起きている。農作物を輸出しているのに、国内に飢餓で苦しむ人がたくさんいる国が多くある。やっぱりなんかおかしいと思う。 やっぱおかしいよなぁとブツブツいいながらも、今日の三湯目「二股ラジウム温泉」に到着。駐車場にバイクを停めると、受付のおばさんに「あ〜バイクは、そっちにおいてネェ」と言われる。ふと見ると、そこには金網の張ったオリがある。続けておばさんは言う。「キツネが荷物かじるからね」えっ? あぁホントだ。よく見ると、数匹のキタキツネが、虎視眈々と僕の食料を狙っている。ここでは、人間がオリの中なんだ・・・。バイクを金網の中に停め、早速温泉だ。ここの温泉は、すんごいなぁ。まるで鍾乳洞の中みたいだ。お〜すごいすごい・・・一時間も入ってすっかりノボせてしまったが、元はとったかな。と満足し、今日の宿泊地ターゲットの洞爺湖湖畔に向かう。
夜の洞爺湖温泉の温泉街を通ったのだが、いいなぁ〜・・・ここはいい感じ。僕は、このような夜の温泉街が大好きだ。特にこのくらい観光地な方がいい。みやげ物屋の店構えや品揃え、街頭のネオン、アーケードなどを一人で見て回るのが大好きだ。温泉に家族で観光に来ている人たちの様子や、ここで暮らしている人たちの暮らしぶりなどを考えながらブラつくのがいい。旅をしている感じがグッとリアルに感じられる。

ガソリン;700+520
食費;700+620+220
温泉;500(二股ラジウム温泉)


9/11---晴れ〜くもり〜雨〜くもり---432km

今日はロングランになる。とりあえず天気は良好。まずは、オロフレ峠へ向かう。ここからは蝦夷富士の異名を取る「羊蹄山」が見える。羊蹄山は広い裾野を持つ美しい山だ。ここオロフレ峠からは、羊蹄山の美しい姿が一望できる。

オロフレ峠を下り、登別カルルス温泉に行ったが、時間が早すぎて公衆浴場はまだやっていなかった。しかし、温泉宿を探して頼み込む。本当は宿泊客だけなんだけど・・・まぁいいよ。と入れてもらった。しかもタダだ。ラッキー。このラッキーをつなげようと、登別地獄谷温泉で安風呂を探したが、一番安くて1000円もする。クソッ。町営の銭湯は400円だが12時からなので、まだ2時間以上もある。とりあえず地獄谷をみて「襟裳岬」に向けて走りだす。
襟裳岬に近づくにつれて天気が悪くなり、ついに雨が降り出した。着いた頃には完全に雨装備になり、そのカッコのまま岬まで歩いた。襟裳岬は日高山脈が海に突き出た岬で、その眺めは素晴らしいものだった。北海道というと、広大な大地から海岸線も緩やかな砂浜を想像してしまうが、実際には急峻に切り立った海岸線がほとんどだ。それだけに道路の建設には大変な労力と費用がかかる。襟裳岬から帯広に続く「黄金道路」はその代表格で、莫大な費用が費やされたので黄金道路だ。それにしても暴風雨の中の黄金道路はメチャクチャ怖い。波がザバーッと道路に襲いかかる。こんな一本道をガス欠寸前のセローを走らせる。行けども行けども右手に荒れ狂う北海、左手に切り立った山だ。しばらくこんな状態で走ってようやく、閉めかかっている出光のスタンドを見つけたところではホントに「助かったぁ」と口にしてしまうほどだった。スタンドのオヤジは店を閉めながら「ここに来る奴はみんなそう言うよ」と言ってたので、要注意路線かもしれない。特に日曜日は。

ガソリンも満タンになり、一安心したところで帯広までまっしぐらだ。帯広には叔父さんがいて、今晩はお世話になることになっている。 帯広駅に着き、電話して迎えに来てもらう。その間、駅をうろついてみたが、駅というのは旅をしているなぁという感じがするし、その土地の雰囲気がよくわかるので大好きだ。 今晩は、叔父さんの家にお世話になった。久しぶりに布団で寝て、いいものを食べた気がする。

ガソリン;785+786
食費;335+110
おみやげ;1545
日用品;1174
雑誌;620


9/12---くもり---stay

今日は叔父さんに周辺を車で案内してもらった。
広大な帯広平野を見ていると「これが本当に日本なのか!」と思うほどの広大さだ。そして、夜は帯広市内の食べ放題の店に連れていってもらった。ここには、十勝牛、ジンギスカン、カニ、イクラ、トウモロコシ、ポテト、乳製品・・・北海道の味が満載だ。しかも新鮮でうまい。腹一杯食べたあと温泉に行き、ゆったりだ。あぁホントこういうのは久しぶりだなぁ。

温泉;320
日用品;250


9/13---くもり〜晴れ---373km

2日間お世話になった叔父さん家族に見守られ出発。 一路、釧路に向かう。途中で見た天気予報によると、今日、日本中で晴れているのは釧路だけだ。すごい天気運のよさ!
そんな晴天のお陰で、いつもなら霧が立ちこめることの多い釧路湿原も、遥か遠くまで見渡せるほどだった。でも霧の釧路湿原も見てみたい! いつかまた! 

そしていよいよ、このツーリングで初の“日本最”である「納沙布岬」だ。ここは根室半島の先端に位置しているのだが、納沙布岬のみならず、根室半島全体が本当にいいところで、実に爽快な気分でツーリングできる。いいなぁ〜と呑気に走っていると突然目の前に大きな角をもった牡鹿が・・・柵をポーンと飛び越え、400m程先の森に消えていった・・・あまりにも突然のことで写真は撮れなかったが、いるんだぁ・・やっぱり・・・都会育ちには、驚きだった。この後、感動を残しつつ納沙布岬で食べた花咲ガニの“てっぽう汁”がまた・・・クーッうまい!

そしてメインの納沙布岬だ。ここから目の前にドーンと見える島はロシア・・・。ウソでしょ・・・と言いたくなるほど近い。あ〜北方領土問題はモメるわ・・・こりゃ。と思うのだった。それにしても記念すべき“日本最東端の岬”到達だ。やったぜ! さぁあと3つかぁ。楽しみだ。あっ! でもあれやんなきゃ・・・あれとは・・・バンザイのポーズをコマ送りのように四分割し、四隅でやるというもの。そして四枚の写真を並べるとバンザイ完成だ。完成は沖縄の波照間島の予定だ。ここ納沙布岬は最初なので、かなり低い体制になる。体制を整え、碑の前を空けてもらい、シャッターをその辺の人に押してもらう。念のため三脚でも撮っておいた。万が一撮れていなかったら一大事だからだ。これで一安心。まずは一コマ達成だ。ヨシッ。

今日はこの後、中春別の超豪華なバス停に泊まった。これが結構すごくて、トイレ付で広さは10畳ぐらいありそうだ。中にはベンチもあってストーブもある。こういうのは北国ならではだ。真冬のことを考えると、このくらいは当たり前なのかもしれない。 明日は天気が悪そうなので助かるなぁ。

ガソリン;464+595
てっぽう汁;500
ステッカー;200
食費;487


9/14---霧〜くもり〜雨---202km

一夜を世話になったバス停を後にし、330度パノラマの「開陽台」を目指す。
しかし、せっかくたどり着いた開陽台はパノラマどころか、10m先も見えないくらいの霧で最悪だ。そこにはライダーが何人かいて、彼らはもう2〜3日この調子だという。ここまできたら晴れるまでいて意地でも見てやると彼らは言っていたが、僕は開陽台にそこまでの情熱もないので、1時間程そこで立ち話をして「ツイてなかったな〜」と立ち去る。まぁこれも巡り合わせみたいなもんだから、「そういうふうになっている」と僕は考える方だ。

そして知床だ。僕としてはこちらの方が楽しみだった。天気も徐々に回復のきざしをみせている。そしてまずは温泉。太平洋側の「相泊」と「瀬石」海岸沿いの2湯だ。相泊はトタン屋根のある木の湯船で、とてもいい湯加減なのだが、目の前にテトラポットがあり、せっかくの太平洋がよく見えないのがちょっと残念だ。そしてもう一湯。瀬石の方はというと、これはワイルド! 最高! 浜に2人分ほどの穴が掘ってあって、周りを石で囲っただけの湯船だ。海沿いには、道路があるので風呂は道から丸見え。しかも脱衣所などあるわけないので、道路のすぐ下の狭い砂浜で全裸だ。でも目の前には大パノラマが広がっている。しかし・・ウワッチ・・たまにメチャクチャ熱いとこがある。そこに注意して入る。おお〜いい眺めだ。 温泉に入りすぎて、のぼせつつもバイクにまたがる。さあ出発だ。羅臼の市街でジンギスカンを食べて知床峠に向かう。しかし雨である。雨は標高とともに激しさを増し、峠付近では土砂降りだ。クッソーなんでだよ。峠を越えて下ってゆくと雨は急に小降りになり、雨に濡れた原生林の香りの中を駆け抜けた。 この「知床横断道路」は新しい道路で、ついこの前まではここもジャングルのような森の中だった。よくもまぁこんなところに道路を通したものだと関心してしまったが、同時に「知床半島はこれ以上開発して欲しくないなぁ」とも思うのだった。

今日はこの後、ウトロのライダーハウスに泊まり、ライダー同士で明日の「カムイワッカの滝湯」に期待を膨らませる。

ジンギスカン;1050
食費;700
ガソリン;811
日用品;100
ライダーハウス;1050


9/15---霧〜快晴---302km

今日は、まさに北海道の底力を見せつけられた一日となった。
まず、とんでもないインパクトの「カムイワッカの滝湯」だ。 ライダーハウスで一緒だった三人と共に霧の知床林道を走り、お目当ての滝に到着する。「お〜これが全部温泉かぁ」「すごいなぁ」驚嘆の声が次々にもれる。滝が段々になっている段瀑なので、湯船によさそうな滝壷がいくつも見える。早速、滝登り開始だ。「いい湯加減の川」というのはなんとも不思議な感覚のするものだ。上に行くほど湯が温かくなる。僕たちは、いけるとこまで行こうと滝を登り続け、遂に大きな落差の滝壷までたどり着いた。さんざん湯の中を歩いてきたので、もはや滝壷は露天風呂にしか見えなくなっていたので、ドボ〜ンと飛び込む。しかし、そこはやはり滝壷。深さは2m以上もあるのだった・・・・三人とも滝に打ちつけられ、おぼれそうになりながらも、なんとか端に戻って、野趣あふれる露天風呂を楽しむ。しかしこの温泉、目にしみる〜。しばらく入って出た頃には体がポカポカと温かい。やはり温泉だ。そして下りだ。これがかなり怖い。とにかく滑る!毎年落ちる人がいるらしいが、僕の前を下っていたオヤジが、腰にタオル一丁という大胆不敵なスタイルのまま、女の子が4〜5人いる滝壷に落ちた!これには、驚いただろーなぁ。なんせ、全裸の中年が股全開で頭上に落ちて来るんだからなぁ。まぁ無事でなによりだったが、タオルをなくしたオヤジはその後どうしたんだろう?知床はこのように自然がいっぱいだ。こんな滝湯にロープすら付いてない。個人の判断で進むしかない。本当はこれが正しいと思うけど・・・女性も多いことだし・・ロープぐらいねぇ・・・でも水着の女性が登ってくるとき、上からの眺めはサイコーだ。手を貸したりして・・・自然最高!やっぱ自然が一番!

この後、大阪の西浦さんと牧野さんとで、知床五湖のレストハウスで軽く食事をし「摩周湖」に向かう。ここで気づいた事だが、なんでこんなに関西人って多いんだ?カムイワッカなんか梅田駅にいるみたいだったし、他のとこでもヤケに目立つ。声がでかいのか? 関東勢もっとガンバレ!かくいう自分は関西生まれの関東育ちなので関東よりの立場である。

西軍の西浦さんを先頭に東軍はノロノロついてゆく。それにしても道道はいい(道の道だから道道)。国道もいいが、道道はもう日本の道ではない!いつか道道を走り回ってみたいと思った。そうしている内に硫黄山を過ぎ、摩周湖に着いたのだが、ホントにラッキーだ。雲ひとつない快晴の摩周湖が見られたのだ。「霧の〜」と言われる摩周湖だが、今日は透明度世界一の湖面を全て見せてくれた。本当にありがとう!と言いたいくらいだ。これで開陽台のカタキは取ったぞ。 ここで西軍の2人と分かれ、ちょっと気になっていた「硫黄山」に戻る。 硫黄山は、その名の通り豪快に硫黄が吹き出している山で、いかにも北海道らしい。硫黄山を後にし、屈斜路湖に抜ける林道「池の湯林道」に入る。しっかし、林道までまっすぐだ。おおお〜いい気分!
林道を出たところでGSに入り、そこのオッサンに「あの林道クマいるぅ?」と冗談半分で聞くと、オッサンは表情ひとつ変えず「いるだろ。クマぐらい。」と言う。やめてくれよぉ。 考えてみれば、今朝の知床林道なんか霧の早朝だもんなぁ。キタキツネは、もういやというほど見たが、クマは会いたいような会いたくないような・・・でもやっぱ怖いなぁ。足速いし、木にも登るし、泳げるし・・・逃げらんない。 そんなことを考えながら「美幌峠」に到着。ここは屈斜路湖を見渡せる峠で、やはり素晴らしい眺めだった。

もう今日は盛りだくさんすぎて書けないや。やっぱ字や写真じゃ表現しきれないなぁ。今日は走って走って、網走通って結局サロマ湖まで来た。

ガソリン;779+541
食費;750+100+250+500
摩周湖;100
その他;250


9/16--- 晴れ---491km

今日はいよいよ宗谷岬に立つぞ!と思い、サロマ湖のキャンプ場を朝7時に出る。国道を走りつなぎ、R39でまずは大雪山の石北峠越えだ。関東と比べるといくらか緩やかなワインディングを登り、到着した「石北峠」は1000mを越す標高のため、寒いし風も強い。売店で焼きトウモロコシを買い、しばらくうろつくが、寒いので早々に逃げ出す。石北峠を下り、昇仙峡の「銀河の滝」と「流星の滝」を見る。「もうちょっとマシな名前はなかったのかなぁ」と思いながら見て回ったが、今にも崩れそうな岩盤に少しだけ木が生えていて、もう紅葉が始まっている。「もうそんな季節なんだなぁ」と思いながら、セローで雄大な大雪山原生林のなかを走り出す。今日は全国的に雨で北海道も全域で雨のようだが、なぜか僕の行く先だけは晴れである。なんという天気運!

この後、天塩川沿いで昼寝をし、白鳥と飛来地として有名な「クッチャロ湖」に立ち寄る。おっ白鳥いるじゃねーか。冬以外でもいるんだ。そうか。まぁそれだけだったけど・・。

さぁいよいよ日本最北端の岬である「宗谷岬」だ。 宗谷岬に至る、手前20kmは最高のルートだ。これから日本最北端に到達するんだ。という気分を十分に盛り上げてくれる北海道らしい広々としたストレートだ。バイクでツーリングをしているなら一度は走ってみたい道のひとつだと思う。そんな誰もいないまっすぐな道を、大声を張り上げて歌いながら爆走した。これは気持ちがいいものだ。 そうして遂に到着だ! 日本最北端の岬「宗谷岬」だ。ここより北に日本はない! 今までに最東端の納沙布岬に立ち、これからは日本最南端と最西端が残っているが、北の端はフェリーにもほとんど頼らず行ける最も遠い岬なんだ。と思うと、なんとも達成感があるものだ。よくぞここまでセローも走ってくれたものだ。これからもまだまだ走るぞ! ガンバロー!

そんな宗谷岬を後にし、稚内の「野寒布岬」へ向かう。夕日を見るためにトバす。夕日に間にあった! そこには、ものすごい夕日の眺めがあった。野寒布岬サイコー! この日は、稚内市を見おろす高台にある公園でキャンプだ。ここからの夜景がまたサイコーだ。稚内の街灯とオホーツク海が一望できるのだ。

こんな景色を眺めながら聞いた、ACジョビンの「ジサフィナード」は、今まで聞いたこともないほどリッチでリラックスしたサウンドだった。ヘッドホンで音楽を聞きながら、ゴロリと寝そべり天を見上げる。何という星の数だろう。スターダストとはよく言ったものだ。ピッタリだ。無数の星が今にも降り注いで来そうな錯覚に陥る。しばらく眺めていると、まるで自分が空にいて、空にある星が、上空から見た街の明かりのように見えてくる。もうサイコー。僕は、キャンプ生活をしない。大したものを作る道具も持っていないし、食料だって一食分の予備を持ってればいい方だ。運悪く、夕食を買えずにチョコレートで済ませた事も何度もある。それでも、カセットテープは20本近くに、スピーカーにヘッドフォンを持ち歩いている。ツーリングライダーでここまで音周りが充実している人には出会ったことがない。でも僕は音楽が好きだ。僕にとってこの旅は、最高の場所で最高の音楽を聞いて回る旅でもある。
音楽は聞く環境や気分、聞く側の集中度によって違って聞こえる事を僕は知っている。だから、最高のロケーションを見つけた時は、食事などどうでもいい。今日はどんな聞こえ方をするのかが楽しみでたまらない。昼はバイクで様々な表情の日本を訪ね歩き、夜はテントの傍らで一人音楽を楽しむ。金はないが、最高の贅沢じゃないか! と僕は思う。

ガソリン;600+618+675
食費;220+300+450
ステッカー;360


9/17---快晴---376km

今日は稚内から一気に札幌まで行くぞ! 海岸沿いを一気走りだ。最高の天気のなか出発。
まずは長〜いオロロンラインだ。この道の沖合いがオロロン鳥の繁殖地なので、こんな名前だ。
この道にアキてくる頃に、道沿いに堂々とした旧花田家がドーンと現れる。ここはかつて日本一の規模を誇った鰊番屋の跡で、そりゃあ立派な番屋造りの建物だ。最盛期は鰊漁の大元締めで多くのヤン衆(出稼ぎ労働者)が寝泊まりし、命がけで働いていた。そのためか、風の吹く向きによって16個もの呼び名(ヤマセなど)がそれぞれについていて、いかに風向きが漁を左右するものかが、わかった気がした。北海道をここまで走ってきて、正直いって自然にもアキてきていたので、こういう国定重要文化財は新鮮で楽しい。またひとつ物知りになった気分だ。中をグルッと見学し、「すんごい金持ちだったんだろうなぁ」「北海の名家なんだろうなぁ花田家は・・・」と思った。そしてすぐ横の食堂で、エビ、ホタテ、ウニがどっさりのった「浜ラーメン」を食べ、金持ち気分になってみる。 花田家を後にし、またオロロンラインだ。途中「岩尾温泉」に入り、そこで地元の老人が通行止め情報を教えてくれたのだが、なんせ湯船のなかで丸腰である。聞いても迂回路なんか分かる訳ないのでテキトーに聞き流す。 そしてまた走る。積丹半島を行けるところまで行く。ここには今だに半島の先端を一周できる道がない。逆にいうと、開発されてない部分がまだあると言うことだ。残して欲しいなぁと思いながら、雷電に向かう。

うわっ通行止めだ! だめだこりゃ。

年寄りの話は聞いとくもんだった! 今年は北海道南西沖地震があり、北海道の日本海側、特に積丹あたりから松前半島にかけては、道路が壊滅的な打撃を受けていた。仕方なく地図でルートを探る。すると2台のオフロードバイクが・・・聞くと、そのうちの一人の女性は札幌の人だったので、詳しくルートを教わり、札幌を目指す。いや〜助かったなぁ。おかげですんなり札幌に到着だ。

札幌では、今夜の宿を探す。素泊まりで4700円の宿に決める。これでも札幌では一番安い宿だ。宿に荷物をおろし、夕食だ。ここのところ走りまくりだったので無性に歩きたい! と思い、地下鉄に乗って大通公園のほうに行く。居酒屋で軽くビールを飲んで、つまみにボタンエビなどを食べる。そして僕は観光客なので、観光客しか行かないと言われている「ラーメン横町」をぶらつく。へぇ〜と歩いていると、前から見た顔が・・・あ〜カムイワッカの滝湯で一緒だったDRの人だ。まさかこんなとこでバッタリ会うとは・・さすが観光地である。お互いびっくりして、せっかくなのでラーメンを食べる。結構コシの強いラーメンでうまかった。
彼とはここで別れ、僕はススキノをぶらつく。呼び込みがうるさいくらいつきまとってくるが、なんとなくなつかしい感じがする。大通公園周辺は、週末ということもあって、歩行者天国になっていた。ミュージシャンやパフォーマーがあちこちでやっている。札幌は結構ススンでるなぁ。というのが正直な感想だった。ストリートに活気がある。東京よりもはるかにストリートのパワーを感じる。帰りの地下鉄に乗り、歩きはやはり違うモンだな。と感じた。バイクとは目線が全然違う。街を感じたければ、歩け! である。そして食べろ! だ。よく都市はみな同じで・・・という意見を聞くが、僕はそうは思わない。むしろ都市にこそ人間くささや、空気、街のパワーや看板のデザイン、店の名前などに、その地域を強烈に感じとることができるし、この違いというのは本当に面白い。世界地図でみれば、アメリカのひとつの衆にも満たない国土にこれほどの多様性が混在している。峠を越えると、もう違う文化圏という地域だってあるほどだ。僕は日本人なのでこうした微妙な違いに、よく気づくのかもしれない。もし日本中がジャングルのようになるほど自然保護をしたとしたら、すでに都市生活を知ってしまっている僕には、耐えられないほど退屈かもしれない・・・でも自然も残して欲しいのだけど・・

●札幌の地下鉄はタイヤで走ってる?

ガソリン;818+632
浜ラーメン(ライス);1200
ラーメン横町;700
居酒屋;3728
鰊番屋見学料;350
ストリートミュージシャンに;300
その他;250+220


9/18---小雨〜晴れ〜小雨---392km

久しぶりに布団で眠り、気分は爽快だが天気はいまいちだ。ぱらつく雨の中「定山渓」を通る。しかし、さんざん北海道を見てきた目には、ややこぢんまりとした印象だった。紅葉の頃だったら風情があっていいかもしれない。ちょっと期待はずれである。

少しガッカリしながら小樽に到着する頃には天気も回復してきたので、レインウェアを脱いで積丹半島を走る。この半島にはまだ一周道路がなく、半島先端の少し手前の道道で半島を横断する。まだ道ができないのもうなずけるだけの自然が広がっていて「このまま残しておいてもいいのかも・・・」と思ったが、地元の人たちにとってはR299が全線開通した方がグッと便利になるのだろうなぁ。この先もR299をフォローして海沿いを走ろうと思ったのだが、またもや通行止めに阻まれる。警察で道を聞くと、やはりここより先のR299はついこの前の北海道南西沖地震で道路が寸断されていて、海沿いをフォローしながら松前半島をまわると、何週間かかるかわからないという・・・まさかこんなところで影響を受けるとは思わなかったが、自分もこの大災害に触れてみて初めて事の重大さを強く感じた。こういうことはこれから先の「雲仙・普賢岳」などでも出くわすことだろう。
仕方がないので、急遽ルート変更である。ニセコパノラマラインを通りR5に出る。ニセコ周辺は本当に良い眺めで、札幌のような大都市からほんのわずかなところに、こんなところがあるなんて信じられなかった。R5を走り、長万部に近くなったあたりで「二股ラジウム温泉」の看板を見かける。ここは、北海道一周の初日に立ち寄った温泉で、何だか懐かしい思いと同時に、長かった北海道一周も遂に終わってしまうのか・・・と思った。しかし、達成感というものもあったのは事実だ。遂にやったんだという思いなのか・・・。そんな思いを抱き、一路函館に走るのだが、またもや小雨だ。僕はよほど函館とは天気運が良くないらしい。始めも終わりも雨の函館に着き、フェリーターミナルで乗船の手続きを済ませてバイクに戻ると、なんと開陽台で一緒になった名古屋の木村さんとバッタリ再会だ!「あ〜っ久しぶり!」4〜5日ぶりの再会で話をすると、彼も大間崎へ渡るというので一緒にフェリーに乗り込む。フェリーから遠くなる函館、これから向かう大間崎の夜景、尻屋崎灯台を眺めるのだった。木村さんはというと、彼は船にめっぽう弱く真っ青な顔をして景色どころではなさそうなのだった・・・。

大間に着き、本州最北端で2度目のキャンプだ。「しかし、ここはいつも風が強いなぁ〜」

ガソリン;811+830
朝食;236
宿;4810
おみやげの鮭;3000
郵便代;1130+1450
食料;1451
フェリー;2100
飲み物;220
その他;130